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執筆者の写真ケイロン・イニシアチブ

中国南京市におけるコロナウィルス雑感

①情報提供:新鞍 陽平

②情報時期:2020

③留学先 :中国

④家族構成:独身、独居

⑤課題分類:新型コロナウィルスに係る問題

⑥解決策 :現在もあまり解決されていません。

⑧エピソード:

日本のマスコミの報道と、中国での実生活とのギャップということをテーマに書きます。


私は、2018年の9月から、研究の仕事の都合で南京大学モデル動物研究所に勤務しています。以前はアメリカに16年ほど、やはり研究職に就いて居住し、永住権もありましたが、なかなか独立する機会を得るのが難しく、現在の研究所に赴任することになりました。アメリカ永住権も放棄し、中国に赴任することに迷いがなかったわけではありません。来てしまえば、元気な若い学生と実験・研究の話、研究費獲得のための努力、やりがいのある毎日です。


2019年の秋頃、一度日本に帰省しました。なんとなく台所でラジオを聴いていると、中国の話題です。経済と領土問題的な話題だったのですが、こういうテーマになると、決まった“オチ”のように“中国政府の思惑は。。。”というコメントで締めくくります。なんというか、自分の普段の生活からは、最も遠い感じのする話題のように感じました。1年ほど中国に住んだことのある人ならすぐに感じられることですが、この国では、日々生活のために生きている人民の思惑と政府の思惑の間で、周りは普段から戦っているような人々ばかりです。上有政策下有对策という言葉の意味を、痛いほど感じ始めた時期でした。


そして、2020年ちょうど春節で学生が帰省している頃、新型コロナウィルス問題が勃発です。私の母親は70歳を超えて、日本でパートの仕事をしていたのですが、職場の同僚のある女性に“あなたの中国で働いている息子(私)があなたの実家に今帰省したら、あなたはこの職場にはいられないだろう。”と言われたそうです。そういう話を老齢と中年の母子が国際電話でして、なんとも切ない気持ちになったのです。2020年4月下旬の現在、日本のテレビを動画で見ると、政府関連の方が“偏見や差別はやめましょう。”と発言されていました。日本の母親が、ラジオで、私と同じ南京在住の竹内亮さんが出演した番組を聴き、南京市内の感染者は、その後感染ピークが移転した東京などに比べれば、ずっと少数であるという内容を聴いて安心したそうです。南京市では、四月の半ばあたりの累計で、感染者は百人足らずで全員回復。死者数に至ってはゼロでした。私の母親の職場の同僚のような方が、“中国政府の思惑は。。。”というコメントの番組ばかりではなく、中国という国、南京市をもう少し身近に感じられる内容の報道に触れれば、中国国外(南京市外)も国内(南京市内)もいろいろ変わってくるのではないか?できれば、お互いのいい方向に、と思います。





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